7月, 2013年

税務調査では、どのようなことが調べられますか?

 

税務調査のメインは、申告書に記載された財産の確認ではなく、それ以外の財産を見つけることです。
自宅の金庫・銀行の貸金庫の中を確認したり、手帳・ノート・金融機関等のハガキ等から、申告漏れの財産があるか否かをチェックしたりします。税務署のチェック項目の例は、次の通りです。

1.不動産
(1)先代名義の不動産の申告漏れはないか。
(2)共有不動産の申告漏れはないか。
(3)借地に建物を建てている場合の借地権の申告漏れはないか。

2.有価証券
(1)無記名債券の申告漏れはないか。
調査で明らかになった場合は、重加算税の対象となり、配偶者の税額軽減の対象にはならないため、注意する必要があります。
(2)家族名義の有価証券の申告漏れはないか。
(3)非上場株式・出資金(親戚や知人が経営する法人の株式・出資金等)の申告漏れはないか。

3.預貯金・現金
(1)家族名義の預金の申告漏れはないか。
・被相続人及び相続人の過去5年分の預金通帳から家族名義の通帳に被相続人の預金が混ざっていないかをチェックします。専業主婦である妻名義の預貯金が数千万円ある場合等には、取得経緯を尋ねられます。
・孫に贈与した預金であっても、通帳・印鑑とも被相続人が管理し、孫が預金を使った形跡がない場合等には、名義預金と認定されます。
(2)相続開始直前の引出額の申告漏れはないか。

4.保険
(1)契約者が相続人であるにもかかわらず、被相続人が実際には保険料を負担していた保険契約の申告漏れはないか。

5.その他
(1)相続開始前3年内の相続人への贈与の申告漏れはないか。
(2)同族法人への貸付金・未収入金等の申告漏れはないか。

税務調査の結果として、修正申告書を提出することになった場合、どのような税金が課せられますか?

 

既に提出した申告書の税額と修正申告税額の差額について、納税手続きを行う必要があります。なお、次のような附帯税が課せられます。

(1)過少申告加算税10%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い金額を超える増差税額については15%)
(2)重加算税35%(無申告の場合40%)
仮装隠ぺいに該当する財産については、上記(1)の過少申告加算税に代えて重加算税が課せられます。
(3)延滞税 年4.3%(平成25年2月現在)
前年11月末日の公定歩合+4%

低額譲渡における対価と時価の差額は、どう取り扱われますか?

 

当該対価と時価の差額のうち実質的に贈与と認められる金額は、寄附金に含まれます。また、これを受ける法人においても、当該金額が受贈益に含まれることとなります。

1.寄附金の範囲
法人税法においては、寄附金、拠出金、見舞金その他のいずれの名義を問わず、金銭その他の資産の贈与又は経済的利益の無償の供与等のことを寄附金といい、贈与又は供与時の時価が寄附金の額となります。ただし、広告宣伝費・交際費・福利厚生費等とされるべき一定の支出は、除外されています(法人税法第37条第7項)。
また、無償のときに限らず、資産を時価より低い対価で譲渡するときや、経済的利益を時価より低い対価で供与するときにも、当該対価と時価の差額が寄附金の額に含まれることになっています(法人税法第37条第8項)。

2.低額譲渡と寄附金・受贈益との関係
内国法人が資産の譲渡又は経済的な利益の供与を行い、その譲渡等の対価がそのときの時価と比較して低い場合は、当該対価と時価の差額のうち実質的に贈与又は無償の供与と認められる金額は、上記の通り寄附金とされるだけでなく、これを受ける法人でも、当該金額が受贈益に含まれる旨が規定されています(法人税法第25条の2第3項)。

3.低額譲渡の場合における寄附金及び受贈益の取り扱い
法人による完全支配関係のある法人間でなされる譲渡等で、その対価と時価の差額のうち実質的に贈与等と認められる差額がある場合、譲渡法人については寄附金として当該差額全額が損益不算入に、譲受法人については受贈益として全額が益金不算入になります(法人税法第25条の2第1項・第37条第2項)。低額譲渡の場合における取り扱いも、通常の寄附金の場合と同様です。

4.譲渡資産等が譲渡損益調整資産に該当する場合の取り扱い
ただし、譲渡等の対象となる資産等が「譲渡損益調整資産」に該当するときは、譲渡法人での取り扱いが異なりますから、注意することが必要です。
譲渡資産の帳簿価額と時価との差額は、譲渡法人において譲渡損益とされますが、譲渡資産が譲渡損益調整資産に該当するときは、譲渡利益相当額を損金算入又は益金算入し繰り延べることとされています(法人税法第61条の13)。

親会社に対し剰余金の配当として親会社株式を交付するという現物分配は、適格現物分配として扱われるでしょうか?

 

現物分配の直前に子会社と親会社の間に完全支配関係が存在する場合、当該現物分配は、適格現物分配として扱われます。

現物分配とは、法人(公益法人等及び人格のない社団等を除きます)が、その株主等に対し当該法人の剰余金配当等の一定事由により金銭以外の資産を交付することです(法人税法第2条第12号の6)。そして、適格現物分配とは、内国法人を現物分配法人とする現物分配のうち、その現物分配により資産の移転を受ける者がその現物分配の直前においてその内国法人との間に完全支配関係がある内国法人(普通法人又は共同組合等に限ります)のみであるものです(法人税法第2条第12号の15)。
この適格現物分配の定義から、被現物分配法人に交付する資産については、「金銭以外の資産」ということのほかには、特に制限がないと考えられます。したがって、質問のように、親会社に対し剰余金の配当として親会社株式を交付する場合も、現物分配の直前に子会社と親会社の間に完全支配関係が存在するなら、当該現物分配は、適格現物分配として扱われます。

適格現物分配した法人の所得の計算について教えてください。

 

被現物分配法人に移転した資産の適格現物分配直前の帳簿価額(当該適格現物分配が残余財産の全部の分配である場合には、その残余財産の確定時の帳簿価額)による譲渡を行ったものとして、適格現物分配した法人の所得の金額は計算されます。

法人が適格現物分配によってその有する資産の被現物分配法人への移転を行った場合に、当該被現物分配法人への移転を行った資産の当該適格現物分配直前の帳簿価額(当該適格現物分配が残余財産の全部の分配ならば、その残余財産の確定時の帳簿価額)による譲渡をしたものとして、現物分配した法人の所得の金額は計算されます(法人税法第62条の5第3項)。
剰余金の配当、若しくは利益の配当又は剰余金の分配により適格現物分配を行ったときには、交付を受けた資産の当該交付直前の帳簿価額に相当する金額が、利益積立金額から減算されます(法人税法施行令第9条第1項第4号)。

非適格となるのは、どのような現物分配でしょうか?

 

完全支配関係がある現物分配法人と被現物分配法人が共に一定の内国法人のみでなければ、適格現物分配として認められません。複数の被現物分配法人に対して現物分配を行うに当たり、被現物分配法人の中に一者でも個人・外国法人・公共法人・公益法人等又は人格のない社団等が含まれている場合には、現物分配全体が非適格になります。

平成22年度の税制改正前は、法人が現物配当を行った際、つまり、利益又は剰余金の配当として金銭以外の資産を株主に移転した際には「無償による資産の譲渡」に該当し、当該資産の譲渡損益の額は、益金の額又は損金の額に算入していました(法人税法第22条第2項)。
平成22年度の税制改正によって、適格現物分配が組織再編成の一形態として位置付けられ、適格現物分配に当たるとき、内国法人が被現物分配法人に移転した資産の譲渡損益については、実現していないものとして、当該資産の適格現物分配直前の帳簿価額に基づいて所得の計算を行うこととされました。
ここで、現物分配というのは、法人(公益法人等及び人格のない社団等を除きます)が、その株主等に対して当該法人の剰余金配当等の一定事由によって金銭以外の資産を交付することです(法人税法第2条第12号の6)。そして、適格現物分配というのは、内国法人を現物分配法人とする現物分配のうち、その現物分配によって資産の移転を受ける者がその現物分配の直前においてその内国法人との間に完全支配関係がある内国法人(普通法人又は共同組合等に限ります)のみであるもののことです(法人税法第2条第12号の15)。
ゆえに、完全支配関係がある現物分配法人と被現物分配法人が共に一定の内国法人のみでなければ、適格現物分配として認められません。一つの行為によって複数の被現物分配法人に対し現物分配を行うときには、被現物分配法人の中に一者でも個人・外国法人・公共法人・公益法人等又は人格のない社団等が含まれていれば、現物分配全体が非適格になります。
適格現物分配により課税の繰り延べられた資産が、国外や公益法人等・人格のない社団等の制限納税義務者に移転した場合に、課税の機会を失ってしまいますので、このように考えます。

グループ内の子会社から受け取った配当金について、配当した内国法人の計算期間に平成22年度税制改正前の期間が含まれる場合、税制改正後の益金不算入規定が適用されますか?

 

配当金を支払う内国法人の計算期間開始日が平成22年4月1日より前であっても、当該計算期間を通じて、配当金の支払いを受ける内国法人と配当金を支払う内国法人との間に100%の完全支配関係があるなら、平成22年4月1日以降に開始する事業年度において支払いを受ける当該配当金については、配当金の額から負債利子の額を控除するのではなく、全額益金不算入とされます。

平成22年度税制改正によって、100%の支配関係がある法人から受け取る配当金については、配当金から負債利子を控除するのではなく、全額益金不算入とされることとなりました。税制改正前は、益金不算入額を計算する際、対象株式が連結法人株式等・関係法人株式等・連結法人株式等及び関係法人株式等以外の株式等という3区分に分けられていました。しかし、税制改正後は、完全子法人株式等・関係法人株式等・完全子法人株式等及び関係法人株式等以外の株式等という3区分に分けて計算することとされました。なお、以前の連結法人株式等は、完全子法人株式等に含まれることとなりました。対象株式が完全子法人株式等に該当するなら、その配当金が全額益金不算入とされます。
このような税制改正後の取り扱いは、平成22年4月1日以降に開始する事業年度に適用があります。配当金を支払う法人における計算期間が平成22年4月1日より前の税制改正前の期間を含む場合に、その期間は「完全子法人株式等」という概念がありませんので、税制改正前の「関係法人株式等」に含まれることになるのではないかという問題が存在します。
しかし、税制改正後の益金不算入規定は、平成22年4月1日以降に開始する事業年度の所得に対する法人税について適用があり、その適用関係は、配当金の額の支払いを受ける法人の事業年度の開始日がいつかによって定められています。配当金の額を支払う法人における計算期間によって定められているわけではありません。
それゆえ、たとえ配当金の額を支払う他の法人の計算期間開始日が平成22年4月1日より前でも、当該計算期間を通じて、配当金の額の支払いを受ける内国法人と当該他の内国法人との間に100%の完全支配関係があるなら、当該内国法人の平成22年4月1日以降に開始する事業年度において支払いを受ける当該配当金の額は、完全子法人株式等に係る配当等の額に当たることになります。

大法人の子会社である中小法人には、中小法人の特例が適用されないのでしょうか?

 

中小法人、すなわち資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人の優遇税制は、大法人、すなわち資本金の額又は出資金の額が5億円以上の法人・相互会社・外国相互会社・法人課税信託の受託法人との間に、大法人による完全支配関係がある法人には、適用されません。

平成22年度税制改正によって、平成22年4月1日以後に開始する事業年度においては、中小法人、すなわち資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人に係る次の制度は、大法人、すなわち資本金の額又は出資金の額が5億円以上の法人・相互会社・外国相互会社・法人課税信託の受託法人との間に、大法人による完全支配関係がある法人には、適用されないこととなりました。
・法人税の軽減税率(法人税法第66条、租税特別措置法第42条の3の2)
・貸倒引当金の法定繰入率(租税特別措置法第57条の10)
・欠損金の繰戻し還付制度(法人税法第80条、租税特別措置法第66条の13)
・特定同族会社の特別税率の不適用(法人税法第67条第1項)
・交際費の損金不算入制度における定額控除制度(租税特別措置法第61条の4)
「中小企業は、財務基盤も弱く資金調達能力に対する税制上の一定の配慮が必要である」ため、政策上の配慮から上記の中小法人の優遇税制が設けられました。一方、大法人の子会社である中小法人は、グループ法人税制が導入され、大法人の分社化した一つの事業部門という位置付けから独立した他の中小法人と同等の恩典を与える理由が乏しいために、中小法人の優遇税制が適用されないことになりました。
そして、資本金又は出資金の額が5億円以上という基準については、税法上の大法人では社会通念上の大企業より広範すぎることから、会計監査人監査が義務付けられている会社法上の大会社の定義に準じたものです。ただし、会社法上の大会社は、資本金5億円以上又は負債の額が200億円以上の株式会社となっていますが、中小法人の特例の不適用については、資本金又は出資金の額だけによって判定されます。
また、大法人による完全支配関係とは、大法人が普通法人の発行済株式等の全てを直接又は間接に保有する関係のことです。したがって、大法人の孫会社・曾孫会社も大法人による完全支配関係のある会社に該当し、中小法人の特例が不適用となります(法人税法基本通達16-5-1)。
なお、大法人には外国法人も含まれることから、資本金又は出資金の額が5億円以上である外国法人との間に当該法人による完全支配関係のある中小法人にも、中小法人の特例が適用されません。

寄附修正という制度は、どのようなものでしょうか?

 

子会社間で寄附を行った際、親会社が保有する子会社株式について、寄附修正が行われます。寄附金を支出した法人又は収受した法人の株式について、100%グループ間の寄附による価値の増減が、その株式を保有する親法人の売却損益の増減とならないようにするために、設けられた制度といえます。

1.寄附修正の趣旨
法人が寄附金を支出又は法人が寄附金を収受した際、寄附金を支出した法人の株式の価値は減少し、寄附金を収受した法人の株式の価値は増加すると思われます。ゆえに、その法人の株式を有する法人が保有株式を売却すれば、株式価値の増減分の売却損又は売却益の増減が生じるということになります。
100%グループ内法人間の寄附に対して課税関係が生じることのないように、寄附金を支出した法人又は寄附金を収受した法人の株式について、100%グループ間の寄附による価値の増減が、その株式を保有する親法人の売却損益の増減とならないようにすることが必要となります。そのために設けられたのが、寄附修正という制度です。

2.寄附修正事由とは
子法人が法人による完全支配関係のある他の内国法人から受贈益の額で益金不算入とされるものを受け、又は子法人が完全支配関係のある他の内国法人に対して全額損金不算入とされる寄附金の額を支出したことを、寄附修正事由といいます。すなわち、完全支配関係のある法人間で寄附を行った場合に、その寄附をした法人で寄附金が全額損金不算入となると共に、寄附を受けた法人でその受贈益が益金不算入となる場合のことをいいます。

3.寄附修正事由が発生した場合の調整方法
親法人が有する子法人の株式等について、寄附修正事由が生じたならば、次の計算式によって算出した金額を、利益積立金額及び子法人の株式等の帳簿価額に加算することになっています(法人税法施行令第119条の3第6項)。
受贈益の額×持分割合-寄附金の額×持分割合
この計算式の持分割合とは、当該子法人の寄附修正事由が生じた際の直前の発行済株式又は出資(当該子法人が有する自己の株式又は出資を除きます)の総数又は総額のうちに当該親法人が直前に保有する当該子法人の株式又は出資の数又は金額の占める割合をいいます。
なお、株主における寄附修正は、連結納税制度における投資簿価修正(法人税法施行令第9条第1項第6号・同条第2項)とは異なり、直接株式を有している法人のみが行うことになっています(法人税法施行令第9条第1項第7号)。

配当金の計算期間の中途で他の法人の株式を100%保有する状態となった場合、完全子法人株式等に該当しますか?

 

配当金の計算期間の中途で他の法人の株式を100%保有する状態となった場合、たとえ期末に100%保有していたとしても、完全子法人株式等には該当しません。関係法人株式等に該当します。なお、この場合、翌年以降の配当については、完全支配関係が継続している限り、完全子法人株式等に係る配当等に該当します。

平成22年度税制改正によって、受取配当等の益金不算入制度における株式等の区分として、「完全子法人株式等」が新設されました。
この完全子法人株式等とは、配当等の額の計算期間開始日から末日まで継続して、法人とその支払いを受ける配当金の額を支払う他の法人との間に完全支配関係があった場合における当該他の法人の株式又は出資のことです。つまり、配当金の計算期間中途で株式を100%保有する状態となった場合、たとえ期末に100%保有していたとしても、完全子法人株式等には該当しません。
そして、完全支配関係がある他の法人には、連結完全支配関係がある他の法人が含まれ、公益法人等・人格のない社団等・特定目的会社・投資法人・特定目的信託に係る受託法人・特定投資信託に係る受託法人は除外されます。また、完全支配関係には、外国法人が介在する完全支配関係も含まれます。
なお、仮に配当金を受け取る法人をA社、配当金を支払う法人をB社とし、配当金の計算期間の中途でA社がB社との間に完全支配関係を有することとなったとします。この場合、その計算期間の開始日からその完全支配関係を有することとなった日まで継続してB社と他の者(C)との間にCによる完全支配関係があり、かつ、同日からその計算期間の末日まで継続してA社とCとの間及びB社とCの間にCによる完全支配関係があったときには、「法人とその支払いを受ける配当等の額を支払う他の法人との間に完全支配関係があった場合」に含まれることとなります。そのため、B社の配当金は、A社の益金不算入算定時において、完全子法人株式等に係る配当等として取り扱われます。

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